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  評論・エッセイ 

アルトー館50周年祝イベントを観て  2023.11.14        

  肉体表現から身体表現へ 

  死から生へ  絶望から希望へ

 

日本から世界に発信し、広まったダンスー舞踏の二つの系譜は、元祖 土方巽と大野一雄。

アルトー館50周年祝イベントに現れた二つの代表的なダンス、三浦一壮(土方系 アルトー館初期メンバー)と、蒼浩人(大野系 現アルトー館メンバー)について記したいと思う。

アルトー館 故及川廣信氏の身体訓練は、バレエ・マイム・東洋哲学(医学)・日本の伝統芸能を基礎とした訓練(特に後半は東洋哲学ー医学を基にした気功を重視した)に特徴がある。このことは2人に共通する。その上で、

三浦一壮の舞踏は大地に根差し、内部にベクトルを回す。

蒼浩人の舞は内部から空間・宇宙にベクトルを移す。

その違いは、土方が「必死に突っ立った死体」と言ったのに対して、大野一雄が「必死に突っ立った生体」と言ったベクトルの違いである。土方から大野へシフトして行った歴史は、未来のダンスの方向性を提示している。

ダンスの歴史はダンスパサージュによって、「廃墟から立ち上がるー 絶望から希望へ」を提示された。そのダンスの方向性を今イベントの蒼浩人は秀逸に身体表現として舞っていた。

それは、目にみえる形や筋肉ではない、もっと深い内部の問題なのである。肉体表現から身体表現への歩みがある。東洋哲学の「天・人・地」から始まる。

 

蒼浩人以下、現メンバーの放つ気を見ること、感じること。

感じることができない感性は、ヅっと、どこかで留まっているのだと思う。

まずは、見ることでしか始まらない。体感するしかない。

清水穂奈美、徳安優子・慶子にもそのベクトルは現れていた。

 

 

付記すれば、

(1)土方系の舞踏は、三浦一壮(アルトー館初期メンバー )によって身体表現として凛々しく在った。

 

(2)蒼浩人以下のメンバーの今後の活動 あるいは、作品による提示が大事な要となると思う。

 

(3)企画・制作を担った相良ゆみは、自身の主張を提示しなかった。難しい位置にいたのかもしれない。能力のある人だけに器用貧乏にならないようにと願ってやまない。

 

(4)コラボレーションという名称が安易に使われたが、コラボとは、相互に影響しあうこと。相手との波動での交流があることであって、全的な自己表現の仕方とは違う(ソロとは違う)ことを理解してほしいと思った。ニューウェイブ・コラボレーションからのアドバイスである。

(文責:居上紗笈 抜粋表示にあたっては必ず連絡のこと。

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 ​  アルトー館の星 蒼 浩人 SOU Hiroto

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  Photo by 加藤英弘 KATOU Hidehiro   美術:大串孝二​ OGUSHI Kouji​   2023.11.28 写真掲載

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